あさがおとへび
『朝顔と蛇』

― 青森県 ―
再話 能田 多代子
整理・加筆 六渡 邦昭
語り 井上 瑤
提供 フジパン株式会社

 昔、あるお寺(てら)に一人の和尚がいた。
 あまり裕福(ゆうふく)でもないので小坊主(こぼうず)も置(お)けないから、一匹(いっぴき)の蛇(へび)をあずかって置いた。
 
 いつも外出(がいしゅつ)するときには、蛇に今出て行くと告(つ)げるし、帰って来れば、また帰ったと言う。
 蛇はいつも入口のところで番(ばん)をして、首(くび)を長くして和尚の送(おく)り迎(むか)えをしたと。和尚も蛇を大変可愛(かわい)がっていたと。


 ある夜、和尚は外出から帰って来て、何の気なしに黙(だま)って潜戸(くぐりど)を開けて入った。蛇はいきなり脛(すね)に噛(か)みついた。
 
朝顔と蛇挿絵:かわさき えり

 和尚は驚(おどろ)いて、
 「蛇、蛇、おれだ」
と言うた。
 蛇はすぐに放(はな)したが、その噛みあとは大層(たいそう)痛(いた)んだと。和尚は、
 「蛇、蛇、おめに噛まれたところァ、痛くて困(こま)る。何薬(なにぐすり)つけたら良(え)がなぁ」
と聞(き)いた。
 すると蛇はどこかへ行って見えなくなった。

 次の朝、和尚が起きて見たら、土間(どま)の上り場のところへ朝顔(あさがお)のつるがたくさん置いてあった。そして、その傍(そば)で蛇が死んでいた。
 「これをつけろということだなぁ」
と言うて、和尚が朝顔を煎(せん)じて傷口(きずぐち)につけたら、噛傷が治(なお)ったと。

朝顔と蛇挿絵:かわさき えり

 蛇は、蛇には朝顔が毒(どく)だと知(し)っていながら朝顔のつるをとってきたと。
 そのことを知った和尚は、蛇塚(へびづか)を建(た)てて、供養(くよう)したと。 
 
  とっちぱれ。

青森県
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