きんたまをとられるはなし
『きん玉を取られる話』

― 青森県 ―
再話 能田 多代子
語り 井上 瑤
提供 フジパン株式会社

 むかし、あるところに仲(なか)のよい夫婦(ふうふ)があったと。
きん玉を取られる話挿絵:かわさき えり


 男は毎日(まいにち)ぼろの仕事着(しごとぎ)を着て行くので、もう少しこぎれいな着物(きもの)を着て行けと、嬶(かか)が小ざっぱりしたよい着物をこさえてやったと。
 それを着て山へ行ったが、亭主(ていしゅ)はもったいないと思って、脱(ぬ)いで木の枝(えだ)にひっかけた。

 すると、それが木の枝ではくて寝(ね)ている狐(きつね)で、着物をかぶったまま走(はし)って行ってしまったと。

 どうしようと心配(しんぱい)して戻(もど)ると、嬶は、
 「着物くらいで心配しないで」
と言うから安心(あんしん)したと。


 翌日(よくじつ)山に行くと、白い大きい鳥(とり)がいたのでマサカリを投(な)げつけると当(あ)たって死(し)んだ。
 そばに行ってよく見ると自分の母親(ははおや)であったから、亭主(ていしゅ)は青い顔して家に戻(もど)った。
 すると、嬶が、
 「年寄(としよ)りは早く死ぬのが順(じゅん)だから心配だから心配しないで」
と言うから安心して弔(とむら)ったと。

 その次には沼(ぬま)へ鴨打(かもう)ちに行くとたくさんいたから、着物を脱(ぬ)いで褌(ふんどし)を取って沼に入って打つと何匹(なんびき)も捕(と)れた。
 喜(よろこ)んで上がろうとすると、蟹(かに)に金玉(きんたま)を挟(はさ)まれて取られてしまった。


 どうしようと心配して戻ると、嬶は、
 「金玉のないところに稼業(かぎょう)していたくない」
と言って、出て行ってしまったと。

  とっちぱれ。
 
きん玉を取られる話挿絵:かわさき えり

青森県
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