『ダンゴドッコイショ』

― 神奈川県 ―
語り 井上 瑤
再話 大島 廣志
再々話 六渡 邦昭
提供 フジパン株式会社

 むかし、ある村に、ちょっぴり頭の弱いムコさんがおった。
 あるとき、ムコさんは、山一つ越したヨメさんの実家へ、ごちそうによばれて行った。
 ヨメさんの親は、よろこんでよろこんで、ヤレ食え、ソレ食え、とダンゴをたあ―んとごちそうしてくれた。
 ムコさんは、出されたものがあんまりうまいので、ムシャムシャ食いながら、
 「こんなうまいもんは、はじめてだ。これはなんというものだ」
とたずねた。すると、ヨメさんの親は、
 「これは、ダンゴというもんだ。お前さんとこにヨメに行った娘は、ダンゴ作りが上手だから、帰ったら作ってもらいなされ」 

 挿絵:かわさき えり
 というた。
 それを聞いたムコさんはうれしくてたまらん。忘れちゃならんと思うて、ヨメさんの実家にいる間じゅう
 「ダンゴ、ダンゴ、ダンゴ、ダンゴ」
と大声で言うていた。帰り道も忘れんように
 「ダンゴ、ダンゴ、ダンゴ、ダンゴ」
と言いながらあるいていた。 

 そうしたら、小川があったので
 「ドッコイショ」
とかけ声をかけて小川を飛びこした。すると今度は、
 「ドッコイショ、ドッコイショ、ドッコイショ、ドッコイショ」
と言いながら家に帰って行った。
 やっと自分の家に着いたムコさんは、いきなりヨメさんに
 「お前の実家でドッコイショという、うまいもんをごちそうになった。すぐにドッコイショを作ってくれ」
と言うた。ところが、ヨメさんはなにがなんだかさっぱりわからん。
 「ドッコイショってなんだ」
と聞き返すと、
 「お前の親が、お前はドッコイショの作り方が上手だと言うていたのだから、知らんはずはない」
 「そんなこと言うても、ドッコイショなんて知らん」 

 二人で言い争いをしているうちに、ムコさんはとうとうおこってしまい
 「これほど言うても分からんか」
と言うと、ヨメさんの頭を思いきりぶんなぐった。たちまち大きなコブが出来た。
 「あいたたたぁ、頭にダンゴのようなコブができた」

挿絵:かわさき えり

 ヨメさんが言うと、ムコさんは、ハッと気がついて、
 「おお、そうだ、そのダンゴのことよ」
 こう言うたんだと。

 いきがさけた 

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