たまごはしろなす
『卵は白茄子』

― 岡山県 ―
再話 六渡 邦昭
語り 井上 瑤
提供 フジパン株式会社

 むかし、あるお寺に和尚(おしょう)さんと小僧(こぞう)さんとがあった。
 和尚さんは食べることが大好きで、小僧さんに隠(かく)れては何(なん)ぞ口に入れとったと。
 ある日、和尚さんが卵をゆでて食べようとしていたら、そこへ小僧さんが檀家(だんか)さんを案内して入って来た。
 和尚さん、あわててゆで卵を後手(うしろで)に隠したが、見つかったと。小僧さん、
 「和尚さん、そりゃ何ですいゃぁ」
と聞いたら、

卵は白茄子挿絵:かわさき えり

 「う、うん、これか、こりゃ白茄子(しろなす)じゃ」
と言うた。

 小僧さん、
 「へえ、白茄子ですかいやぁ」
と言うたら、そこへ鶏(にわとり)が、
 「ほっけぼうず、こけこーろ」
と啼(な)いた。小僧さん、檀家さん、顔を見合わせ、ニコッとすると、
 「和尚さん、和尚さん、今、ほっけぼうずこけこーろと、白茄子の親が啼きました」
と言うた。
 和尚さん、檀家さんの前で往生(おうじょう)したと。

  むかしこっぽり。

卵は白茄子挿絵:かわさき えり

岡山県
に伝わる他のおはなしへ >>

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。音声が再生されない場合はこちらをご覧ください。

こんなおはなしも読んでみませんか?

蛙石(かえるいし)

蛙石(かえるいし)

むかし、あるところに蛙(かえる)によく似た形をした大きな石があったと。村の年寄(としよ)りたちは、子供たちに、「あの蛙石(かえるいし)な、こわいぞ。

この昔話を聴く

怠け神(なまけがみ)

怠け神(なまけがみ)

むかし、あるところに大変な怠(なま)け者(もの)がおったと。自分の食う物をとるのさえ億劫(おっくう)なくらいで毎日寝てばかりの暮らしだったと。屋根は…

この昔話を聴く

現在593話掲載中!