もぐらのよめいり
『モグラの嫁入り』

― 滋賀県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
提供 フジパン株式会社

 あったそうな。
 あるところに、モグラが一匹いたんだと。
 そいで、それが子供産んだら、とってもいい子が産まれたんだって。
 「こんないい子を、モグラんとこなんかに嫁にやっちゃあもったいない。日本一いいところへ嫁にやりたい」
 「そいじゃあ、お天とう様が一番偉いから、お天とう様に嫁にもらってもらいましょう」
 そいで、お天とう様のところへ行って頼んだって。
 「お天とう様、お天とう様。おれんとこでほんに器量(きりょう)もいい、利口な、いい子が生まれたので、嫁にもらってくらっしゃい」
 そしたら、お天とう様が、 

 挿絵:かわさき えり
 「モグラどん、そう言ったって、雲が来ればおらを隠しちまって、おら照らせなくなっちまう。雲の方がおいらより偉いから、雲にもらってもらい」
 って言ったって。
 それで雲に、
 「雲どん、雲どん、ほんにいい子が生まれたから、嫁にもらってくらっしゃい」
 って言ったって。
 

 そしたら雲が、 「風が吹けば、おいらなん吹っ飛んじまうだから、おいらより風の方が偉いから、風にもらってもらい」
 それで風んとこいって
 「風どん、風どん、おいらの子嫁にもらってくらっしゃい」
 「う―ん、モグラどん、おいらがいくら吹いたって土手はびくともせん。土手どんの方が偉いから、土手どんにもらってもらい」
 こんどは、土手どん所へ行って、
 「土手どん、土手どん、おらの子いい子が出来たから嫁にもらってくらっしゃい。日本一偉い人んとこに嫁にもらわれたい」
 って言ったって。
 そしたら土手は、
 「そんなこと言ったって、モグラが居たんじゃみんな崩されちゃう。おらよりもモグラが偉い」
 て言ったって。 

 そうか、日本一はモグラだったかって、そいで仲間のモグラんところへ嫁にやったそうな。

 そうらいごんぼ
 豆の花よごし。

挿絵:かわさき えり

 
 

滋賀県
に伝わる他のおはなしへ >>

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。音声が再生されない場合はこちらをご覧ください。

こんなおはなしも読んでみませんか?

狐の倉(きつねのくら)

狐の倉(きつねのくら)

むかし、あるところにひとりの男がおったと。男が荒地(あれち)を畑にしようと掘り起こしていたら、鍬(くわ)が思いっきり石を叩(たた)いた。「しもうた」…

この昔話を聴く

天道さんの金の鎖(てんとうさんのかねのくさり)

天道さんの金の鎖(てんとうさんのかねのくさり)

むかし、むかし。あるところにおっ母さんと、太郎と次郎と三郎の三人の子供が暮らしておったと。あるとき、おっ母さんが山へ薪を拾いに行くと、山姥が出て来て、おっ母さんをベロッと食うてしもうた。

この昔話を聴く

現在611話掲載中!