はとがてん
『鳩合点』

― 島根県 ―
再話 六渡 邦昭
語り 井上 瑤
提供 フジパン株式会社

 うぐいすが啼(な)く頃になりましたねえ。
 うぐいすはきれいな鳥で、ほんとに立派(りっぱ)な巣(す)うもこしらえるのよ。
 昔にね、うぐいすの巣うを鳩(はと)が見て、あんな立派(りっぱ)な巣うをおれもこしらえられたらいいなあって。
 それで、うぐいすに習(なら)いに行ったそうよ。そうしたら、うぐいすはちいっとも嫌(いや)がらないで、丁寧(ていねい)に丁寧に教えたって。
 「ああして、こうして」
って。

鳩合点挿絵:かわさき えり
 そうしたら鳩は、ちょっとせっかちでね、話半分ぐらいしか聞かないで、
 「ははあ、ああそうか、ああそうか、はあそうですかあ」
って、あたふたと帰ったそうよ。

 我家(わがや)へ帰った鳩は早速(さっそく)巣うこしらえはじめたって。ところが、なかなか、うぐいすの巣うのようには作れない。
 もうちいっと身い入れて聞いときゃよかったとは思うものの、
 「まあ、ええわあ」
って言うてね、不格好(ぶかっこう)な巣うのまま住んだそうよ。
 昔からのたとえに、「鳩合点(はとがてん)」と言う言葉があるけれど、これは少しばかり聞いて、
 「ああ、そうか、そうか」
って言うような人のことを指すそうよ。

  これぽっきり。

鳩合点挿絵:かわさき えり

島根県
に伝わる他のおはなしへ >>

※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。音声が再生されない場合はこちらをご覧ください。

こんなおはなしも読んでみませんか?

ずいとん坊(ずいとんぼう)

ずいとん坊(ずいとんぼう)

むかし、あるところに山寺があって、随頓(ずいとん)という和尚さんがおったそうな。その和尚さんのところへ、毎晩のように狸が通って来て、和尚さんが寝よう…

この昔話を聴く

鬼を笑わせた爺さま(おにをわらわせたじいさま)

鬼を笑わせた爺さま(おにをわらわせたじいさま)

むかし、あるところにひとりの爺(じ)さまが住んでおったと。爺さまは面白い昔(むかし)こ語(かた)っては、ひとを笑わせていたと。ところが爺さまも年齢(…

この昔話を聴く

現在689話掲載中!