※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。音声が再生されない場合はこちらをご覧ください。

こぶなのゆめ
『小鮒の夢』

― 秋田県 ―
語り 井上 瑤
再話 今村 義孝/今村 泰子
提供 フジパン株式会社

 昔、あったずもな。
 川の中にいた小鮒(こぶな)のせいしょう、ある晩夢みたずもな。
 四本柱立って、サラサラ雪降って、濁(にご)った川さドブンと落ちだ夢だったずもな。
 朝間(あさま)に起きで、あまり気持悪ぐで、河鹿の法印様のどごさ占っつもらいに行(え)ったど。
 「法印様、おれ、こんた夢見だども、いい夢だが占ってけれ」
 「ん、どれどれ」
 て、法印様言って、算木(さんぎ)やめどぎ(筮)おろして占ってたば、
 「お前(めえ)ナ、あまりいい夢でねぇ。食物に気つけねぇば、生命にかかわる。気を付げだ方良(え)え」
 

 挿絵:かわさき えり
 て、言ってくれたら、小鮒のせいしょう面白ぐなぐでハァ、心配でならねがったど。
 家さ戻る途中まで来だば、何とうめえ香(かお)りしたと思っで見だば、上からうまそうな御馳走さがってるずおん。
 

 それ取って食うと思っだども、今、法印様に言われたこと思い出しで、通り過(すご)しだども、
 なになに良えべと思いなおしで、下(さが)ってだ御馳走、パクリとぱくついたら、それぁ、魚釣ってる人の針であったわけだ。
 小鮒のせいしょう、やがてまな板の上さあげられ、包丁でうろこおろされだと。して、味噌汁の中さ、ドブンと入れられて、煮られてしまったど。
 法印様が占い、小鮒のせいしょうが見た夢は、四本柱はまな板で、サラサラ雪降るのが包丁でうろこをおろされるで、濁った川さドブンというのは、味噌汁のことであったわけだ。

 これきって、とっぴんぱらりのぷう。
 

 挿絵:かわさき えり

秋田県
に伝わる他のおはなしへ >>

こんなおはなしも読んでみませんか?

吉四六さんさざえを買う(きっちょむさんさざえをかう)

吉四六さんさざえを買う(きっちょむさんさざえをかう)

むかし、大分県の野津市というところに、吉四六という知恵者の男がおった。あるとき、吉四六さんが臼杵の街を通りかかると、魚屋の店先に、十個ばかりのさざえがあるのが目にとまった。

この昔話を聴く

とくぞすの使い(とくぞすのつかい)

とくぞすの使い(とくぞすのつかい)

むかし、むかし、日向の国、今の宮崎県日南市飫肥の報恩寺というお寺に、“とくぞす”という知恵者の小僧どんがおったっと。  ある日のこと、寺の和尚さんから、  「よい、とくぞす、お前すまんが、清武の庄屋どんかたまで使いに行ってくれ」 と、頼まれた。

この昔話を聴く

梟とカラス(ふくろうとからす)

梟とカラス(ふくろうとからす)

昔、あるところに染物屋があったと。この家の息子は仕事もせんと遊んでばっかりの極道者(ごくどうもん)だったと。あるとき、お城のお侍(さむらい)が白絹(…

この昔話を聴く

現在719話掲載中!