今まで聞いたことのないお話で良かった。かたりを聞けるので、方言を使って読むことができて面白い。キツネたちにとっては悲劇のお話になるのに、可哀想さが直接表面にでてこないとんち話になっている。( 女性 )
― 秋田県 ―
話者 佐藤 祐介
採集・再話 今村 泰子
語り 井上 瑤
提供 フジパン株式会社
昔、あったずぉん。
あるどごに、弥八(やはち)て云(い)う狩人(またぎ)あったけずぉん。
あるどき、狐(きつね)捕りに行(え)ったば、穴の中で狐たぢ集まって、相談していだど。
挿絵:かわさき えり
こっそり聞いでいだば、
「おうい、お前(め)たち、明日、皆(みな)して村さ、唐(から)松さんをやって行くべ」
「ンだ。それやるごどにすべ」
て、云ったど。
弥八、これ聞いで、
「ようし、明日、皆生捕りにして呉(け)る」
て、家(え)さ戻(もど)って、ふくべ、ずっぱり出して、その中さ狐の好きな油揚(あ)げ入れておいだど。
次の日になったば、笛吹(ふ)いて、旗(はた)立でて、唐松さんの行列廻(まわ)って来たど。
弥八、わざと外さ出はって、
「どうか休んでたんへぇ」
て、家の中さ入れて、酒コ出して、皆どごさ御馳走(ごっつぉ)しだど。
唐松さんだち、酔(よ)ってしまって寝(ね)てしまったもんで、弥八、ひょうたんふくべの枕(まくら)させたきゃ、狐たぢ、好きな油揚の匂(にお)いするので、頭、だんだんつっこんで、ふくべ被(かぶ)ってしまったど。
挿絵:かわさき えり
弥八、そのどぎ、
「さぁ、いまだ」
て、網(あみ)打って、皆生捕りにしてしまったど。
とっぴんぱらりのぷう。
今まで聞いたことのないお話で良かった。かたりを聞けるので、方言を使って読むことができて面白い。キツネたちにとっては悲劇のお話になるのに、可哀想さが直接表面にでてこないとんち話になっている。( 女性 )
むかし、あるところに和尚さんと小僧さんがおったと。ある秋の日、和尚さんと小僧さんが檀家の法事をすませてお寺へ帰る道を歩いていたと。空は晴れとるし、草花は咲いとるし、道端の石に腰かけて、和尚さん一服した。
とんと昔、よく物忘れをする長吉(ちょうきち)という男がおったげな。 ある日のこと、畠(はたけ)へ行こうと思うて、鍬(くわ)をさがしたがどこにもない。クワクワクワクワというて探していたら、東から烏(からす)がクワクワクワと啼(な)いて飛んでいった。
「狐の唐松さん」のみんなの声
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