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おおかみのぼうおん
『狼の忘恩』

― 秋田県南秋田郡 ―
再話 今村 泰子
語り 井上 瑤
提供 フジパン株式会社

 むかし、あったと。
 あるとき、狼、のどさ骨(ほね)ひっかげて苦しんでいたけど。
 「ああ、せつねゃ。だれか、この骨抜いで呉(け)だら、うんと良(え)え物呉(け)るぞ。ああ、だれか頼(たの)む。」
て、狼、ウン、ウンうなって、しゃべったど。
 それ見だ鶴(つる)、かわいそうだと思って、くちばしを狼ののどさ入れて、骨こ抜いでやったど。したけ、狼、ありがとうともしゃべねゃで、

狼の忘恩挿絵:福本隆男

 「やい鶴め、おれののどさくちばし入れたどき、パクリと食われなかったごと、ありがてく思え」
て、しゃべったど。
 「なんとわがままで、恩知らずの狼だべ」
て、山のけだものたち皆そう言って、おこったと。
 それがら、そのあと、狼が病気で苦しんだとき、誰も知らね顔(つら)して、助けなかった。
 狼は死んでしまったと。
 とっぴん ぱらりのぷう。

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