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きぼとけちょうじゃ
『木仏長者』

― 青森県 ―
語り 井上 瑤
再話 大島 廣志
提供 フジパン株式会社

 むかし。ある長者が、金(キン)で作った、それはそれはみごとな仏さまを持っていた。長者はいっつも、下男や下女に、
 「この世に二つとない金仏(カナボトケ)じゃ」
というて、自慢しておった。
 あるとき、下男の一人が山へたき木を取りに行くと、仏様の形をした木が落ちていた。
 下男は、
 「木仏(キボトケ)じゃ、木仏じゃ」
と喜んで、その木を拾って帰ってきた。
 そして、下男部屋の片隅に置き、朝・昼・晩、飯をお供えして、おがんでいた。
 

 それを聞いた長者は、生意気だ、と下男を呼び出し、
 「お前は毎日、仏様をおがんでいるそうだが、わしにその仏様を見せろ」
と言うた。下男はみすぼらしい木仏だから、見せたくはなかったが、いいつけだからしかたがない。木仏を持って行くと、長者は一目見て、
 「な―んだ、仏様といってもただの木仏ではないか。わしのは金で作った金仏じゃ」
と大声で笑った。それで、下男も黙っておれず、つい、
 「金でも木でも、仏様には変わりはありません」
というてしまった。すると、長者は、
 

 「そんなら、どっちが強いか、明日の朝、相撲をとらせよう。もし木仏が勝ったら、わしの財産をみんなやろう。金仏が勝ったら、お前はこの家で一生ただ働きだ。いいな」
というた。下男はいやと言えず、すごすごと下男部屋へ戻った。
 しかし、木仏が金仏に勝つはずがない。下男は荷物をまとめると、長者の家から逃げ出そうとした。すると、木仏が何か言うた。下男がよ―く耳をすますと、
 「おれに相撲をとらせてくれ」
というている。下男は、日頃信心してきた木仏がこういうので、ようやく、相撲をとらせる決心がついた。
 

 青森県民話【木仏長者】挿絵1挿絵:かわさき えり
 次の日の朝、沢山の下男や下女の前で相撲が始まった。金ぴかに光っている金仏と、薄汚れている木仏では、だれが見ても勝負は決っていた。
 ところが、金仏が懸命に押しても、木仏はびくともしない。笑って見ていた長者の顔もだんだん青くなっていった。そのうちに、木仏がドンとついたら、金仏はコロリところげてしまった。
 

 長者が金仏に、
 「どうして木仏なんかに負けたんだ」
と泣き泣き聞くと、
 「長者様、よ―く考えてみろ。おれは一年に一回、年とりの日しか飯を食わせてもらっていねぇ。だから力がでんかった」
 下男は、木仏のおかげで、約束どおり長者の財産をみんなもらって、長者様になったと。

 とっちばれ。
 

「木仏長者」のみんなの声

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ちょうじやになるなんて、すご!

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