※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。音声が再生されない場合はこちらをご覧ください。

さいごのうそ
『最後のうそ』

― 福井県 ―
語り 井上 瑤
再話 六渡 邦昭
提供 フジパン株式会社

 むかし、あるところに、とほうもない嘘つき爺がおったと。
 爺の若い頃、近所の人が嫁さんを世話しようとしたら、相手の娘っこに、
 「エ―あの人ぁ、そんなあ、うそでしょ、おらやんだぁ」
と言われたと。それからこっち、女房もなくずうっとひとりで暮らしておったと。
 あんまり嘘ばっかりつくので、村の人達もあきれて、だんだん相手にしなくなったと。
 だぁれも近づく者がいなくなると、嘘つき爺は、
 「嘘袋(うそぶくろ)がサビつきそうだ。あぁあ嘘つきてえなぁ」
と、毎日、ブッツンコブッツンコつぶやいておったと。

最後のうそ挿絵:かわさき えり
 あるとき、嘘つき爺が病気になって、とうとう死ぬばかりになったと。
 が、だぁれも見舞ってくれるものがない。
 そこで爺は、近所の衆や、親せきの者たちを集めて
 「おらは、まもなく死んでいくだ。皆の衆には世話になったで、小遣いをためた金が庭の柿の木の下さ埋めてあるのじゃ。それ、皆(みんな)で分けてくろ。それにしても、死ぬ前に熱い粥(かゆ)の一杯(いっぺエ)も食(く)いてえなぁ」
と言ったと。

 これを聞いた村の衆と親せきの衆は、
 「死ぬ際(きわ)まで、まさか嘘はこくめえ」
と、いろいろ介抱(かいほう)してやったと。
 嘘つき爺は熱い粥を腹いっぱい食べて死んでいったと。
 野辺送りもしてやってから、みんなは庭の柿の木の下を掘ったと。そしたら爺の言葉通りに小さい箱が出てきたと。
 「ちょっくら開(あ)けてみなんし」
 みんなは、ワクワクしてそのふたを取ってのぞきこんだと。
 そしたら、何とまあ呆れたことか

 ――うそのつきじめえ――

 と書いた紙切れが入れてあったと。

 そうらいべったり貝の糞
 かち栗数えてへんころへんころ

最後のうそ挿絵:かわさき えり
 

福井県
に伝わる他のおはなしへ >>

こんなおはなしも読んでみませんか?

わに鮫と医者坊主(わにざめといしゃぼうず)

わに鮫と医者坊主(わにざめといしゃぼうず)

昔、ある渡場(わたしば)に乗り合いの船(ふね)があったと。お客を乗せて海を渡っていたら、急に船が動かなくなったと。いっくらこいでも、船は前にも進まない、後にも戻(もど)らない

この昔話を聴く

猿婿入(さるむこいり)

猿婿入(さるむこいり)

さる昔、あったけド。あるところさ、三人の娘持った長者爺様あったけド。あるとき、千刈(せんかり)り田(だ)さ水コ見に行って見っと、カラカラに干上(ひあ…

この昔話を聴く

現在711話掲載中!