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きっちょむさんしりをかかえる
『吉四六さん尻をかかえる』

― 大分県 ―
再話 六渡 邦昭
語り 井上 瑤
提供 フジパン株式会社

 昔、豊後(ぶんご)の国、今の大分県大野郡野津町(おおのぐんのつまち)の野津市(のついち)
【現在は臼杵市野津町大字野津市(うすきしのつまちおおあざのついち)】
というところに、吉四六(きっちょむ)さんという面白い男がおった。

 あるとき、吉四六さんが寄(よ)り合いで近所の家に行ったと。
 長いこと話し合っていたので、小便をしたくなった。

 
吉四六さん尻をかかえる挿絵:かわさき えり

 「星を見ながらするっちゅうのもオツなもんじゃ」
 外へ出ると、物置き小屋のそばに、お婆(ばあ)さんがおって、声をかけられた。


 「そこにおるのは吉四六かのう。ちくと手伝うちくれんかや」
 「ええとも、何じゃい」
 「すまんがのう、ちくと尻をかかえちくだんせ」
 「へ!?尻をか!?おれは前の方に用があるんじゃが…、ま、小便をする前に手伝うちやろかい」
 「こっちじゃき、こっちへ来てくだんせ」


 吉四六さんを物置きに手招(まね)きして、お婆さん、棚(たな)の壺(つぼ)を取ろうと梯子段(はしごだん)をのぼった。
 「うーんしょ、少々重いぞな、しっかり尻(しり)をおさえててくだんせ」
 「大丈夫じゃ、おさえちょる」
 吉四六さんがいきんで答えたので、お婆さんは壺を持った手を放した。

 
吉四六さん尻をかかえる挿絵:かわさき えり

 そのとたん、ガッチャーンと壷は土間に落ちて割(わ)れ、ドブロクがとび散った。
 お婆さんの怒(おこ)るまいことか。
 「大丈夫、おさえた、ちゅうで手を放したらこげんこっちゃ。せっかく婆がみんなにふるまおうと思うちょったに……。 これ吉四六、お前、なし尻をおさえんじゃった」


 「なに言うか、よう見ちくだんせ、尻は力いっぱいおさえちょろ」
 お婆さんが、シワクチャ眼(まなこ)を細うにしてよおっく見ると、なんと吉四六さん、ウンウンいきんで真っ赤になって自分の尻をおさえておったと。
 
 もしもし米ん団子(だんご)、早よう食わな冷ゆるど。

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吉四六さんのお話は「アハハ」と笑えるから大好きです( 50代 / 女性 )

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