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あめのふるあな
『雨の降る穴』

― 山形県 ―
再話 六渡 邦昭
語り 井上 瑤
提供 フジパン株式会社

 六月は梅雨(つゆ)の季節だが、昔からあんまり長雨降ると嫌(きら)われるていうな。
 昔、昔、あるところに親父(おやじ)と兄と弟があった。
 兄と弟が、夜空を眺(なが)めていると、お星さまがいっぱい出ている。兄は弟に、
 「あのお星さまな、あいつ、雨降(ふ)ってくる天の穴だ」
というたと。
そしたら弟は兄に、
 「あの穴、何とかして塞(ふさ)ぐかすること出来んもんか」
というた。二人は相談(そうだん)したと。


 「そうだな。よし、雨降る穴、叩(たた)きおとす。そしたら俺(お)らん家(ち)、雨漏(あまも)りの心配しなくて済(す)むべ」
と、いうことになった。
 天は広いから、家のぐるりだけでも落としてしまうべというわけで、夜の夜中、二人は家の前庭で、長い竿(さお)持って、ふりまわしたと。
が、なかなか星は落ちてこん。
 
雨の降る穴挿絵:かわさき えり

 そこへ親父が来て、
 「こりゃこりゃ、お前たち何しとる」
と聞いたら、二人は
 「お星さま、叩いとる」
 「雨の降る穴、塞ぐんじゃ」
というた。そしたら親父は、
 「そんなら、そんなとこでは届(とど)かん。屋根の上さあがって叩け」
 こう言うたと。
 
 どんぴんからりん すっからりん。

 
雨の降る穴挿絵:かわさき えり

山形県
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