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たけひめ
『竹姫』

― 山形県 ―
再話 六渡 邦昭
語り 井上 瑤
提供 フジパン株式会社

 むかしむかし、爺(じ)んつぁと婆(ば)んちゃ居だっけど。
 爺んつぁ、竹伐(き)って暮(く)らしった。
 ほれ、洗濯竿(せんたくざお)だの、竹細工する竹だの、いろいろ伐って暮らしった。
 爺んつぁと婆んちゃには、子供いねがったもんだから、子供欲しい、子供欲しい、って言うて神さまさお祈りしたったけど。

 
竹姫挿絵:福本隆男

 ある日、爺んつぁ、竹伐りに行ったれば、何だか根っこの方がピカピカ光る竹あっけど。
 「不思議な竹もあるもんだ。竹の光るのざぁ、この年なっけど初めて見だ」
て言うて、
 「ンだら、ひとつ丁寧に伐ってみっか」
て伐ってみた。


 ほしたらなんと、ほの光る竹の中から小っちゃこい、小っちゃこいオボコ産まれてきたっけど。
 「はぁぁ」
て言うて、見とれてたけど。
 爺んつぁ、落としちゃなんねぇ、転(ころ)んじゃなんねぇって、家さ連れて帰ったと。
 「婆んちゃ、婆んちゃ、早よこっちゃ来い。ほれ、これ見てみれ」
 「はえ、はえ、どっこいしょ」
 「早よ来いってば」
 「はえはえ」「はえ来た」
 「いいかぁ、腰(こし)抜かすなぁ、いいかぁ」
 「何だべか、せかしたり、じらしたり」
 「いいかぁ、ほれ」

 
竹姫挿絵:福本隆男

 「あやぁぁ」
 「なぁ」
 「あやぁぁ」
 「なぁ」
 「はえぇ」
 爺んつぁと婆んちゃ、ほのオボコ、竹姫(たけひめ)て名付けて育てたけど。


 竹姫、器量(きりょう)よしなって、だんだん大きくなって、とうどう年頃(としごろ)になったどはぁ。
 評判(ひょうばん)聞いたお殿(との)さま、
 「ぜひ、お嫁(よめ)さんに欲しい」
て言うて来たど。爺んつぁ、
 「いや、あの、おら家(え)でも後継(あとと)り居ねがら呉(け)てやらんね」
て、断(ことわ)ったど。お殿さま、
 「どうでも貰(もら)いにくる」
て言うた。


 お殿さまの命令で、なんとも仕方ない。
 月夜の晩に、駕籠(かご)を仕立てて竹姫を貰いに来たど。
 ほの駕籠(かご)、二重(ふたえ)にも三重(みえ)にも家来たちがとりかこみ、護(まも)って、さあお城さ連れて行くベとしたら、みんなみんな眠たくなって、その場に寝(ね)っ転がったど。

 
竹姫挿絵:福本隆男

 ほんどき、天から虹色(にじいろ)に輝(かがや)く雲が降りて来て、竹姫、駕籠から出てほの雲に乗り、天さスイスイスイスイと昇(のぼ)っていくわけだ。


 ほしたら、家来だち、みんな目覚めて、天を指差して、
 「縄(なわ)投げろ」
 「矢を射(い)れ」
て大騒(おおさわ)ぎだけど。
 ほだえしているうちに竹姫は、はるか天上へ昇って行ってしまったど。
 
 どんぴんからりん、すっからりん。

「竹姫」のみんなの声

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竹姫(たけひめ)

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