※再生ボタンを押してから開始まで時間がかかる場合があります。音声が再生されない場合はこちらをご覧ください。

さけのみ
『酒呑み』

― 山形県 ―
再話 武田 正
整理・加筆 六渡 邦昭
語り 井上 瑤
提供 フジパン株式会社

 むかしむかし、あるどこさ、酒好きで酒好きで、毎日毎日、朝から呑(の)んでいる夫(とと)がいだんだけど。
 田でも畑でも、
 「あそこは何升(なんしょう)、あそこは何ぼかな」
て、みんな酒に見えるんだど。


 米を買えば買ったで、これは何升になるなぁ、て、ドブロクを作ったときの量にしてしまう。
 あるどき、隣村(となりむら)さ用達(ようた)しに行って、酒御馳走(ごちそう)なったげんど。
 だげんど、ちょっど呑み足りなぐって、もっと呑ませろ、とも言えねべ。いそいで家さ帰ってきて、
 「こりゃ、こりゃ、酒出せ」
て、言うた。


 「うーう、酒ばり呑んでけずがる」
て、婆(ば)ンチャと嬶(かかあ)が目くばせしあっで、酒ではなぐ、米のとぎ汁、茶碗(ちゃわん)さ汲(く)んで渡(わた)した。
 そしだら、ドクドク、ドクドクて呑んで、
 「いま一杯」
て、言うた。
 また、白いとぎ汁汲んでやっだら、ドクドク、ドクドクて、一息(ひといき)に呑んでしまっで、
 「もう一杯」
て、言うた。
 「こだえ呑みだいのだら仕方ない。嬶(かかあ)汲んできてやれ」
て、婆(ば)ンチャ言うので、嬶、こんだあ、ほんとのドブロク汲んできてやったら、夫(とと)、
 「ああ、やっと酒の味してきた」
て言うたけど。
 
  どんびんからりん、すっからりん。

「酒呑み」のみんなの声

〜あなたの感想をお寄せください〜

酒呑み(さけのみ)

一番に感想を投稿してみませんか?

民話の部屋ではみなさんのご感想をお待ちしております。

「感想を投稿する!」ボタンをクリックして

さっそく投稿してみましょう!

こんなおはなしも聴いてみませんか?

ながし、みじかし

ながし、みじかし

 むかし、あるところに母と三人の娘(むすめ)とが住んでおったと。  あるとき、隣(となり)からボタ餅(もち)をもろうた。  ちょうどお昼どきだったので娘たちは早く食べたくてならない。めいめい皿を持ってチャブ台に集まった。

この昔話を聴く

塩吹き臼(しおふきうす)

塩吹き臼(しおふきうす)

むかし、あったけど。むかしあるところに爺と婆がおったと。爺と婆には子供がなかったと。それで、村の鎮守様(ちんじゅさま)へ、「子供を授けてくれろ」と、…

この昔話を聴く

藁の贈り物(目から火)(わらのおくりもの)

藁の贈り物(目から火)(わらのおくりもの)

むかし、あるところに大層けちな男がおったと。あるとき、村の外へ出掛けていて屁をこきたくなった。男は、「肥(こやし)の息だ、もったいねぇ」といって、紙…

この昔話を聴く

現在853話掲載中!